家出
高校を卒業して就職。
すぐに辞めて家へ戻る。
なぜ辞めたのか。これからどうしたいのか。
やはり、何も言えず、何も言わず。
“家出” と言う強行手段。
東京へ。
都会への憧れ。華やかさへの憧れではない。情報が溢れる街への憧れ。
比定され嘲笑われ馬鹿にされ、
気狂い病院に行け! と罵られ。
それでも、まだ自分を諦めてはいなかった。
何かある。こんな私にも出来る事がきっとある。
東京へ行けば見つかる。
そう思った。
現在と違って田舎と都会の違いは歴然としていた。
映画の公開が3ヶ月遅れていた時代。
最新の情報。様々な情報。
田舎に居ては得られなかった。
だから、東京へ出て自分に出来る事を見つけたかった。
自分が生まれて来た意味が判ると思えた。
そして見つけた。
とんでもないモノだった。
逃げ出して生き直し。
けれど、母からの呪いの言葉が私を苦しめた。
母がくれた否定の言葉は
「やっぱりね。私なんかに出来る訳がなかった。役立たずの私がその気になったのが間違いだった」
小さな躓き。低い壁。
起き上がろう。乗り越えよう。
などの闘志。フツとも湧いて来なかった。
順を追って、細々と書いて行こうと思っていたのだけれど。
なんか、のらない。
日記にしよう。
日々の思いの中で少しずつ語っていこう。
そうしないと、また、あの暗闇の中に戻ってしまいそうな気がする。
重複しても構わない。
思い出した時に、年次など構わずに
少しずつ書いて行こう。
今は、そう思う。
そして。
話が戻って。
一旦は社会人として家を出たのに舞い戻り、挙げ句の果に家出。
いい歳をしてみっともない。
ずっと、誰にも言えなかった。
話した事はなかった。
それが、自分を被虐待児と認識して。
何かの話のついでに牧師にポロリと。言ってしまった。
心理学を学んだ牧師に
「良かったんですよ。それで。
そう言う環境にある子はなかなか親から逃れられないんです。そして、蜘蛛の糸に絡められるように、身動きが取れなくなってしまうんです」
聞いた時はピンとは来なかった。
ただ、あの行動を否定されなかった事が嬉しかった。
心にその事があって、ツイッター等を見ていると、確かに! と思う。
大人の引きこもり。
正に親が吐き出した蜘蛛の糸に絡まれ、がんじがらめ。
自立出来なくなっている。
障害者の自立を妨げているのも、社会のエゴ。
お前なんかが外へ出て何が出来る!
その呪縛から逃れられなくなっている。
私の家出。
アレはアレで良かったのだと。。。